## そもそも問いがズレている 「現像と印刷の違いは?」という問いは、実は比べる対象が噛み合っていない。「現像」は工程の名前で、「印刷」は方式の名前だからだ。同じ土俵に乗っていないものを対義語のように並べているので、まずここを解きほぐす必要がある。 比べるなら、レベルを揃える。 - 方式どうしで並べる … **銀塩** と **印刷**(オフセット、インクジェット等) - 工程どうしで並べる … 銀塩の **現像** と、印刷の **製版・刷版** など つまり「現像」を持ち出したときの本当の対比相手は「銀塩」という方式であって、「印刷」ではない。 ## 用語の整理 - **銀塩** … 光に反応する銀塩(ハロゲン化銀)を使う「方式」。この方式の中に、露光・現像・定着といった工程が含まれる。 - **現像** … 銀塩方式に特有の一「工程」。露光で記録された潜像を薬品で処理して、見える像にする。 - **印刷** … インクやトナーを紙に乗せて像を作る「方式」の総称。オフセット、インクジェット、トナー(電子写真)などを含む。 ## それぞれの原理 **銀塩(現像を含む方式)** 光に反応する銀塩を塗った印画紙やフィルムに露光すると、目には見えないが情報としての像(潜像)が記録される。これを薬品で現像・定着させ、初めて見える像になる。光と化学反応で像を作る方式で、連続階調でなめらか、経年でも比較的安定しやすい。 **印刷** インクやトナーを紙に乗せて像を再現する。オフセットなら細かい網点(点の集まり)で、インクジェットならインクを噴射して像を見せる。化学反応ではなく、微小な点の集合で階調を表現する。 ## 並べて見る(レベルを揃えた場合) | | 銀塩 | 印刷 | |---|---|---| | 種類 | 方式 | 方式 | | 原理 | 光+化学反応で発色・定着 | インク/トナーを紙に乗せる | | 像の中身 | 連続階調 | 網点など点の集まり | | 代表的な工程 | 露光・現像・定着 | 製版・刷版・刷り | この表で「現像」は銀塩の一工程として左の欄に収まる。印刷と横並びになるものではない。