## 1. 古代〜中世:宗教的博愛と共同体による生存戦略 「非営利」という言葉が生まれる数千年前から、活動の本質は存在していました。 * **宗教的源流:** * キリスト教の「隣人愛(Caritas)」、イスラム教の「ワクフ(寄付信託)」、仏教の「慈悲」に基づいた困窮者救済。これらは「国家の仕事」ではなく「信仰の実践」として行われた。 * **相互扶助の組織化:** * **ギルド(欧州):** 中世の職能組合。利益追求だけでなく、メンバーの病気や死に際しての共済システムを備えていた。 ## 2. 近代の幕開け:国家による「公共」の定義(17世紀) 慈善活動が個人の善意から、初めて「社会システム」として法制化されました。 * **1601年 エリザベス救貧法(英):** * 貧困層の救済を教会の役割から「国家の責任」へと転換した画期的な法。 * 同時に、慈善目的の財産を保護する制度が整い、現代の「公益信託」や「財団」の原型が生まれる。 ## 3. 市民社会の台頭:デモクラシーと結社(19世紀) 「お上」でもなく「家族」でもない、自発的な市民の集まりが社会を動かし始めます。 * **トクヴィルの観察(アメリカ):** * アレクシス・ド・トクヴィルは、アメリカ市民が火災、教育、地域の課題に対して即座に「結社(アソシエーション)」を作り解決する姿を報告。これが「市民社会」としての非営利活動の理論的支柱となる。 * **人道的NGOの誕生:** * **1863年 国際赤十字の創設:** アンリ・デュナンによる。国家の利益に縛られない「中立・公平・独立」という非営利組織のアイデンティティが国際的に確立される。 ## 4. 20世紀:セクターとしての理論化 バラバラだった活動が、一つの社会経済的な「セクター」として統合されます。 * **1970年代 サードセクター(第3セクター)理論:** * **市場の失敗:** 利益が出ないサービスは市場から供給されない。 * **政府の失敗:** 多数決の原理により、マイノリティ(少数派)のニーズは切り捨てられる。 * これら2つの欠陥を埋める **「第3の解決策」** として、レスター・サラモン教授らが非営利組織を学術的に再定義した。